【いつも蕎麦にいるよ】まえがき ~そば屋小説を始めるきっかけ~

学生時代のころ、実家のある郡山に帰郷する時はお金がないので鈍行(普通列車)を使っていた。
高速バスの方が安いのだが、予約も必要なく、思い立ったらフラッと乗れるのが電車の魅力だ。

東京から郡山まで、片道4時間の電車旅。
途中の黒磯駅で宇都宮線から東北本線に乗り換えることになる。
東北本線から極端に本数が減るため、黒磯駅で30分待ちとかもざらにある。
年末の帰郷だと、北風が吹き付け、寒くてホームに立っていられない。
そんな時に心と体を温めてくれたのが、黒磯駅ホームにあった駅そば屋だった。

白い息を吐きながら食べる、かけそばは絶品だった。
もうすぐ東北に入ることを実感させてくれた。
駅そばの魅力とは、味の良さだけではなく、その時のシュチュエーションも一緒に食べているんだと感じた。

社会人になり、鈍行で実家に帰ることはなくなってしまったが、黒磯のそばの味は今でも思い出せる。
そば屋小説の連載が決まり、黒磯駅のそば屋もぜひとも登場させようと思ったが閉店してしまったようだ。
寒空の下で、そっと側にいてくれた温かいそば……。
そんな思いでタイトルを付けました。

味だけではない、シチュエーションの美味しさを意識して、そば屋小説を執筆します。
黒磯のかけそばのような、最高の一杯を目指して……。

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