【ミナクルわんわん物語】灯消えるときまで

家族や親族、友人に限らず、愛犬との別れは、本当に苦しくて辛いもの。

とはいえ、「出会いがあれば別れがある」のはこの世に生まれてきた命の宿命。

さまざまなお別れの瞬間があると思いますが、人生を共に過ごした愛犬たちは、最期のときまで私たちに愛で答えてくれるのです。

みんなの帰りを変わらずに待つ

登場犬名:キャティ
犬種:ポメラニアン
年齢:14歳
話てくれた人:高木あゆみ(45歳)


最近、元気のなかったキャティ。
もうお爺ちゃんという歳だったから、仕方がないのかもしれません……。

その日、キャティは朝から苦しそうにしていました。
「キャティ、大丈夫?」
と、声を掛け、後ろ髪を引かれつつも、私は仕事へと向かいました。

本当は行きたくないけれど、「愛犬が苦しそうだから」という理由で休めるわけもありません。
でも、なんだか嫌な予感はしていたのです……。

※ ※ ※

私は、保育園で働いていました。
園児たちが帰るのは夕方から夜にかけて。

今となってはなぜなのかはわからないのですが、時間が経つにつれて、キャティのことで頭がいっぱいになっていました。
もちろん、普段からも仕事中にキャティのことを考えることはあるにはありました。
でも、いつもとは違う不安感……。
いわゆる〝虫の知らせ〟なのか、ざわざわと胸騒ぎがずっと止まりませんでした。

※ ※ ※

園児が帰ったあと、教頭先生に頭を下げて早退させてもらいました。
保育園の仕事は、園児が帰って終わりではありません。
ただ、この日は、そこまで残って作業していてはいけないような気がしたのです。

走って家に帰りました。
帰宅すると、ゼエゼエと辛そうに呼吸をしながら、目を瞑っているキャティがいました。
きっと、今日がお別れの日になる。
そう感じました。

こういう日に限って、妹の帰りが遅い。
どうにか妹にも早く帰ってきて、なんとか〝そのとき〟に立ち会ってほしい。
ほかの家族は全員揃っているのに、妹だけがいつまで経っても帰ってきませんでした……。

※ ※ ※

キャティの様子は、どんどん苦しそうなっていきます。
本当にもうどうすることもできないと、家族みんなが悟っていました。
見ているのも辛くなり、キャティとの思い出だけが頭の中を駆け巡りました。
散歩が大好きで、手綱を引っ張って走り回っていたキャティ……。
お利口でお手やおすわりをすぐに覚えたキャティ……。
帰宅すると、嬉しそうにお出迎えしてくれたキャティ……。

涙がポロポロと流れ落ちて止まらない。
「みんなでお別れすることはできないのかな?」
そんなふうにあきらめかけていた瞬間でした。

妹が帰宅し、家族みんながキャティのそばに集うことができました。
そして、まさに、妹が駆けつけてきたそのときでした。
今まで苦しそうに目を瞑っていたキャティが、目を開けて、家族みんなの顔を見ました。
それから大きく深呼吸して……。

次の瞬間、天国へと旅立ちました……。
キャティ、今までありがとう。
安らかに眠ってください……。

園長先生から一言

きっと、キャティは、自分が愛した家族全員がその場に揃うのを、待っていてくれたんだと思います。

命の灯が消えないように、最期まで苦しさに耐えながら……。

忠犬ハチ公のように、犬とのエピソードにはたくさんの奇跡があると私は思います。

 

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