【キムラケンジの3時のごはん】第4食「結局たくあんは買った方がいい」

長いこと料理を作っていると、だいたいのものは「これ、自分で作れるかも」と思うようになる。たとえば居酒屋に出てくる料理に関しては、総じて材料さえあれば作れるだろうというものが多く、実際に家に帰って作ってみることもしばしばだ。

特にお新香に関して言えば、家で作れば低コストで大量生産できるのに、なぜ高い料金を払ってこんな少量しかないのだ、と思ってしまったりもする。しかし、それでもついつい頼んでしまうのが、お新香の魅力といったところであろうか。

そんななかでも、これだけは作れないだろうというものがある。それがたくあんである。

大根の奇跡を作り出すのは手間暇がかかる

大根から生み出されたとは思えないそのパリパリとした食感は、まさに日本が生み出した奇跡としか言いようがない。諸説はあるが、もっとも有名な説として沢庵宗彭氏が考案したというものがある。もしそうであれば我々日本人は、沢庵宗彭氏に感謝してもしきれないほどの恩がある。我々は、あの独特の食感でどれほどの幸せを享受したか、それはもう計り知れないだろう。

話を戻すと、たくあんは実際に作るとなると非常に手間がかかってしまう。まず、大根を数日間天日干しするのだが、一般家庭で実行するとなるとこれが非常に難しい。たとえば、我が家は賃貸の集合住宅だが、大根をベランダで干すとなるとなかなか勇気がいる。私はあまり人の目を気にするたちではないが、さすがに、「キムラさんのお宅のベランダに大根が干してあるわ」と近所の奥方にひそひそ話されるのは、シティの男としては受け入れがたい。

その後の工程もまた大変だ。しなびた大根と塩と米糠などと一緒に大きめの容器(漬け樽)に入れて、重石をのせて6~12カ月漬けるのだが、もし、我が家でつくるとなると、そもそもそんな大きなものを置いておくスペースはない。唯一余裕がある部屋は寝室くらいなのだが、寝室に漬け樽をおくのは厳しいものがある。おやすみからおはようまでたくあんと共にしなければなくなってしまう。

加えて、あまり意識はしないかもしれないが、たくあんのにおいというのは、なかなか強烈である。その臭気をアラバスター単位(Au)で数値化すると430Auとなり、これは納豆の452Auと非常に近い数値となる。密閉してるとはいえ、こういったものは確実ににおいが漏れだす。先述したとおり、我が家で作るとなると漬け樽は寝室に置かなければならないので、それだけの臭気のものと1年間添い寝しなければならないのだ。その間、しっかりと深い眠りにつけるか非常に心配である。

と、なんだかたくあんを貶めるような書き方をしてしまったが、私はたくあん自体はかなり好きである。ただ、もし自分で作るとなると、非常に手間がかかるうえに、たくあん自体を嫌いになってしまうというリスクがある。

それだったら、数百円出してスーパーで買う方が建設的だ。困った時はお金で解決する、それが大人としてとるべき方法だと私は思う。

(終)

【レシピ】パリパリ感マシマシの「じゃこしそたくあんふりかけ」

材料(作りやすい分量)

  • たくあん…100g(約1本分)
  • ちりめんじゃこ…50g
  • 大葉…5枚
  • 白ごま…適量
  • 醤油…大さじ1/2
  • みりん…大さじ1/2
  • ごま油…大さじ1/2

作り方

  1. ごま油を中火で熱したフライパンで、角切りにしたたくあんの表面がこんがりするまで炒める。
  2. 1にちりめんじゃこと醤油、みりんを加えて汁けがなくなるまでさらに炒める。
  3. 2のあら熱がとれたら刻んだ大葉と白ごまをあわせる。

結論

やはりたくあんは買った方がいい。


コラム、レシピ:キムラケンジ

イラスト:まつざきしおり

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